《私の本棚 第百二十八》    平成19年11月

              「獲物の分け前」  エミール・ゾラ  

 1870年頃にパリの大改造が行われました。当時のパリでは、日本のバブル期と同じ事がおこりました。めざとい者は改造後のパリで道路がつきそうな場所に在る家を買い占め、転売を繰り返して値をつり上げた後パリ市に売るという事をしていたようです。主人公のサッカールはほぼ無一文でパリに出てきた後、行政官と癒着して巨万の冨を手に入れます。同時にその冨を、底の見えない穴の中に投げ入れるような狂乱のパリ社交界に身を置き、その生活を維持しようと奔走します。
 作品は古い時代のものですが、読んでいても古さを感じません。パリの地下には数百qに及ぶ地下道と、それより長い下水道があります。地下道はパリ大改造のために必要になった石材を掘り出した跡です。いわば狂乱の痕跡ともいえるでしょう。下水道は、あまりに不衛生だったパリの道路 (地表面の小さな溝を糞尿が流れていたとのこと) を改造したものです。 
奈良県、浄瑠璃時、三重の塔、あんな本こんな本




 奈良県

 浄瑠璃寺 三重の塔

 
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