《私の本棚 第百二十三》    平成19年6月

    「ルーゴン家の誕生」  エミール・ゾラ   

 ゾラの作品は第72号 「居酒屋」 ・ 第118号 「ナナ」 に続いて三冊目の紹介になります。居酒屋もナナも 「ルーゴン=マッカール叢書」 の中にあります。叢書の構成はルーゴン家から出た一族が社会の様々な階層で生活していく様子を描いています。

この第一巻は
1851127日から14日までの一般市民の蜂起と鎮圧までの出来事が背景です。大きなテーマは二つで、一つは殆ど文無しに近い状態のピエール・ルーゴンが、政変に乗じて反蜂起群 (軍とは言えない) の立場で繁栄の足がかりを築いていく内容。あと一つは少年シルベールとミエットの大人になる直前の淡い恋愛で、蜂起群に参加したミエットは流れ弾でシルベールは処刑で死亡します。シルベールはピエールの甥という設定です。私は少年と少女が、ためらいがちに一生懸命に、少しずつ愛を深めていく描写が良くできていると思います。 
あんな本こんな本、黒百合





 黒百合
 
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