閑 話

                

入浴券を買うと、先ず説明がある。

「露天風呂を利用される場合は、内湯でかかり湯をして、次に服を着てスリッパを履いてください。それから――」

 とつづく。

聞きながら頭の中で整理する。要するに、服は二度脱がないとお目当ての風呂に入れないという事は分かった。

長い回廊を海岸へ向かう。

遠目に混浴と書いてある。しかし、淡い期待?と不安はあっけなく雲散霧消。

老若の男ばかり五〜六人、申し合わせたようにタオルでねじり鉢巻きをし、海に向かって浸っている。

やっと来たあこがれの湯。

手足を伸ばしながら、自分も同じようにタオルを乗せないといけないかなと、目は落ち着かない。

そのとき、風に吹かれたパンツがひらり、主を追い掛けて赤茶色の湯へ飛び込んできた。

誰も文句を言わないし気づく者も居ない。

大様に ん? とばかりにつまんで外へポイ。

いいお湯は心も伸びやかにしてくれる。

    (2009年5月1日 青森県 不老ふ死温泉にて  

不老ふ死温泉、あんな本こんな本




  深浦町 
 
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