《私の本棚第百三十》 平成20年1月
「大つごもり」 樋口
一葉 作
明治29年、24歳の作です。17歳の時に父が事業に失敗し、耐乏生活を強いられていました。その頃に売れない小説記者、半井桃水 (なからいとうすい) との関係が噂されています。(石川さゆりさんのUta-Netにリンクしています) 内容的にはこれといったものは無いと思います。給金前借りで、ケチで有名な家に下働きに出された主人公のお峰は、一生懸命に仕事に励みます。年の瀬が押し迫ったある日、久しぶりに伯父夫婦の家を訪ねますが、事業に失敗し、その上病に臥している伯父の家には家具らしき物も無い状態です。八歳の子供が天秤棒を担いで暮らしを助ける様子を見て、何とか正月の餅くらい食べさせてやりたいと思います。ケチで有名な奥様ではあるが、お願いすれば2円くらいなら何とか貸してもらえると思いますが不首尾。ついつい引き出しから2円を盗んでしまうのですが、放蕩息子の使い込みがばれたのと重なって自分の悪事は露見せず無事に済みます。 一葉自身の貧乏生活と当時の何処にでもありそうな雰囲気を重ねて書いたものと思います。その文体は現代語訳が必要とも言える時代になりましたが、庶民の生活が伝わってきます。 |
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