《私の本棚 第百十五》    平成18年10月

  グリム童話集より、「ヘンゼルとグレーテル」  グリム兄弟
 

                                    Jacob Grimm 1785-1683

                                    Wilhelm Grimm 1786 - 1859

 グリム兄弟はドイツの言語学者です。グリム童話集は彼らの創作ではなく、国内外の昔話を広く集めて保存しました。 初版は1812年です。
ヘンゼルとグレーテルの話は、幼稚園か小学校1・2年生の子供でも絵本で知っているのではないでしょうか。そんな小さな子供達が読むと、「両親が貧乏で食べるものが無く、森に捨てられたんだ。けれどお兄ちゃんが方法を考えて帰る道が分かったり、魔女に食べられそうになったりしたけれど、とうとう優しいお父さんの家に帰れたんだ。」 という風に感じるんでしょう。
 この話の中にはいろいろな教訓が含まれています。大人・親にもいろんな人がいて、明日から食べるものが無いとなると、自分の子供でも、死んでも構わないという気で捨てようとする人もいる。お父さんよりお母さんの方が優しいとは限らない。どんな困難に直面しても、一生懸命に知恵を働かせれば打開の道はある。力の弱い小さな女の子でも、自分が食べられるか逆に魔女をパン焼き釜に突き落とすかは、勇気を持って判断しなければいけない、などなど。
 集められた物語は、口伝されたものですから、語り聞かせているその場の状況も分かれば楽しいものです。この話のお終いに 「あたしの話はこれでおしまい。そらそら、あそこをねずみが走ってる。あれをつかまえたら、大きな大きな毛皮のぼうしがつくれるよ。」 という一文があります。夕飯を食べた後ロウソクの光の中で、お婆さんやお爺さんが話して聞かせている様子が目に見えるようです。

 手元には角川文庫とちくま文庫のグリム童話があります。挿絵は共に同じものを使っていますが、ちくま文庫はカラー刷りがあって、より美しくなっています。読み比べると筑摩文庫の訳が子供に読みやすいように思います。しかし角川文庫の訳者は、口伝された物語は饒舌家が話したものではないのだから、原文に忠実に訳したと記しています。読み比べると面白いものです。 
TDL、西洋の城、花火、あんな本こんな本




 TDL

 西洋の城に花火

 
    前の頁,和解      次の頁,千夜一夜物語、カイロの盗神アリの奇談    Vol U,目次へ       Vol U,トップ頁 


  Vol V,トップ頁      Vol T,トップ頁