《私の本棚第百十二》 平成18年7月
「浮舟入水」 澤田
ふじ子 著
1946年生まれで、高校教師、西陣染色修行の後作家になった人です。 梅雨の時期、それも天ケ瀬ダムの放流中に宇治を訪れていたようです。文面からするとJR宇治駅から宇治橋を渡り、通円茶屋に立ち寄ってから橋寺放生院を訪れ、さらに平等院へ向かっています。氏は源氏物語の宇治十帖を愛読されていて、この小旅行も気持は平安時代を歩いていたと記されています。 宇治はかつて交通の要衝でした。大阪、奈良からは宇治橋を渡らなければ京都へは行けません。でなければ淀川を遡上するか、迂回して西国街道を利用する事になります。また大津を経て北陸方面へも通じていました。大津石山寺には紫式部、宇治には藤原頼通の平等院。宇治橋東詰めには、吉川英治氏の 「宮本武蔵」 に登場する通円茶屋があります。時代は異なっても、舞台と役者は揃っています。 |
宇治橋から上流の塔の島 |
架け替え後の宇治橋、 右手が上流、奥は京都へ通じ手前は奈良へ通じる 秀吉の時代は、 この少し下流から先は巨椋池という沼地になっていた |
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