《私の本棚 第百二十四》    平成19年7月

     「雁の寺」   上   

 昭和36年直木賞受賞作品。作者は福井県大飯郡本郷村生まれ。9歳の時に京都、臨済宗相国寺の塔頭瑞春院に出された。表の顔と裏腹の住職の生活に幻滅、13歳で脱走、その後等持院で修行したが17歳で還俗しています。
 舞台設定は衣笠山麓にある孤峯庵。住職慈海と隠し妻の里子、小坊主の慈念が主になります。慈念が垣間見た酒と女をこよなく愛する和尚の生活は、水上勉の経験に近いものだったのでしょうか。慈念は本郷村から来たとしています。乞食女を母とする慈念は、育ての親を離れて寺にいます。不満を口にする事もなくあるいはできないような聡明な子供でしたが、裏表のある住職の生活は純粋な子供の精神には耐え難いものだったのでしょう。慈海住職を人知れず殺害、自分も行方を消します。
 この作品を読んでいると谷崎潤一郎郎や川端康成を思い出します。
 
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 車折神社(くるまざき) 

 (芸能の神様)



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