《私の本棚 第百八》   平成18年3月

    「恐るべき子供たち」  コクトー  

 フランス人、1889年ブルジョワ家庭の生まれ。1929年3月作のこの小説は代表作です。奇妙な題材を扱っていますが、今でも新鮮さを持っています。両親の死によって姉弟が残されます。二人とも今いうところの 「引きこもり」 状態になりますが、優しい大人の援助で生活をしています。 

『世の中には理性的な人々を呆然とさせるような家、このような生活があるものだ。そうした理性的な人びとは、2週間と続くはずのない乱雑さが、何年も保たれる事を理解できないであろう。ところが、このような怪しげな家、このような怪しげな生活は、あらゆる期待を裏切って、数多く、不法にも、天下晴れて維持されているのである』 と。

 姉はねじ曲がった姉弟愛で、弟の幸福を妨げていきます。そして弟の麻薬中毒死と姉の拳銃自殺。 大人になりたくない子供達。大人になってしまった子供達。発表当時ではとんでもないテーマだったでしょうが、今では素直に読めます。その簡単に受け入れることができるという事実が恐いともいえます。
 
奈良、バサラ祭り、あんな本こんな本





 奈良市 バサラ祭り

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