《私の本棚 第百二十五》    平成19年8月

         「蜜 柑」  芥川 龍之介 

 ごく短い短編小説です。大正8年の作ですから、若い人には時代背景が見えにくい所があります。私はこの小説を、NTTドコモ元会長の大星公二氏の文章がきっかけで読み返してみました。
 内容は、「私 (作者) は当時中流以上の生活者。2等車両に乗っていた私の前の席に、3等車の赤切符を持った薄汚い13〜14歳の小娘が座る。嫌悪感を持って娘を見ていると、町はずれの踏切に差しかかったとき、3人の小さな男の子達にいくつかの蜜柑を投げかけた。私はこの娘がどこかへ奉公に出されていくと知り、切ないほどにこの光景が焼き付いた。」 というものです。

 大星氏は体験と重なって強い印象を受けられたようです。私は氏ほどではありませんが小学生の頃にそんな経験をしました。夏の日差しのような印象で記憶に残っています。
 亡き母は気が強くそのような口調で話す事も多い人でしたが、相手を傷つけないように
(子供心の誤解?思い起こせば私はそう感じる事もありました) 配慮しつつ、相手より多少はましな貧乏人として、物心両面何某かの援助をしたり、ものの考え方を私に教えたりしていました。
(2021.03.08, サイト全体の体裁を整理中)

子供たちにも沢山の本を読んでもらいたいですね。どんな人も自分が経験できる人生なんてごくごく限られたものでしかありません。様々な本を読むことで、こんな考え方もある、あんな生き方もあるということが分かり、あたかも幾つもの人生を経験したかのように幅が広がる。ものの見え方も深まりができる。他人の立場を自分に置き換えて考える事ができるようになる。そんなすばらしさをもっと知ってほしいと思います。 
与島、穴泊港、あんな本こんな本






 与 島

 穴泊港から瀬戸大橋

 
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